第4回(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会 心のバリアフリー部会議事概要 場所 明石市役所議会棟2階大会議室 日時 令和元年5月16日(木)13:30-16:30 1開会 2部会長挨拶 3条例骨子案及び具体的取組案の説明(資料1、資料2 事務局より説明) 4グループディスカッション(資料3 事務局より説明) 5グループディスカッションを踏まえた協議 (1)グループディスカッションの報告 Aグループ (委員) 内部障害当事者の体験談のうち交通、旅行、仕事の3つのテーマをもとに話し合った。交通のテーマについては、緊急時に電車に乗れず満員バスに乗ったとき、ヘルプマークをつけていたが、それを見ても座っている若者が席を譲ってくれず、さらに目的地まで通常15分ほどで行けるところ1時間近くかかったという話だった。緊急時のせいか車内で携帯電話を使う人が多く、電波障害のため気分が悪くなってしまい、途中で下車せざるを得なかったそうである。この体験談を受けて、ヘルプマークや電波障害について周知を図り、理解を広めていくことが大事ということ、また緊急時でも優先座席は空けておくような配慮が必要といった意見が出た。特にヘルプマークの理解をいかに広げていくかというところに焦点を絞って話し合った。話し合いの中では、バスの運転手がヘルプマークについてアナウンスする、駅の構内や市役所など多くの場所にポスターを貼る、スマートフォンで内部障害の人に近づいたときに案内が表示される仕組みを作るなど、目に見える形での周知があると、当事者が自分から「席を譲ってください。」とか「配慮してください。」と言わなくても、周囲からの自然な配慮につながるという意見が出た。 旅行については、薬を飲んでいる影響でトイレ休憩の心配があり、一般ツアーバスでの旅行に参加しにくかったり、観光地で案内者の歩行が速かったり、階段等段差がきつかったりして、ついていくのが難しかったりするという話だった。この体験談を受けて、トイレ付きのバスをもう少し普及させ、ツアーを組むことができればよいという意見や観光地のバリアフリー状況を見える化したマップなどをあらかじめツアー客に示せれば良いといった意見があった。さらに、対象者(高齢者向きなど)や歩くスピード、目的地到着時刻を示したバリアフリーのプログラムはあるが、もう少し踏み込んだ配慮を行ったプログラムがあれば、障害者や高齢者に限らず小さな子ども連れの人や妊婦の方にもやさしいツアーになるのではないかという意見もあった。 仕事については、見た目は健常者と変わらない心臓機能障害のため、自身のしんどさが周囲にわかってもらいにくく、会社を経営していたが、通院による休みも多く、社員の士気も気になり、自ら早期退職したという話だった。この体験談を受けて、どうすればよかったのかを話し合った。その中でドラマにより意識啓発を図るというアイデアが出た。障害者のドラマには恋愛やお涙ちょうだいというものが多いが、そうではなく、社会人として自立をした障害者像とか困り感を取り上げるようなドラマがあればよい、そうすれば理解が図れるのではないかという意見があった。その他にはヘルプマークなどを利用して、困り感を見える化、具体化したうえで、会社の中で役割分担ができればいいという意見もあった。理解ある企業風土を会社が作っていければという意見がある一方で、まだまだ言いにくさや遠慮があって、言葉にするのは簡単だが、見える化を図っていくのは困難だという意見もあった。 Bグループ (委員) 難病当事者の体験談をもとに3つのテーマについて話し合った。 1つ目は学校のテーマ。入院中や在宅療養の際、学校に行けないのは治療優先で仕方のないことだが、置いてけぼり感があり、こども心に辛く悲しかったということや体育の授業の課題も結構こどもにとっては重要であるという話。 2つ目は意識啓発のテーマ。「自分が病気になったのは遺伝だろう」と母が言われたことがあったり、「家の方角が悪いのでは」とか「過去になにか悪いことした?」などと言われたこともあったりという話。 3つ目はサービスのテーマ。車いすユーザーの友人が毎日お風呂に入りたいが、サービスが週3日しかなく、支援される側も、「まあ、まだいいよね。それでも。」という感覚になってしまうという話。 具体的な話も出たが、やはり生活に根ざして、障害者も高齢者もみんな当たり前という意識が必要という意見があった。そういった社会が必要という意識を持つと、一番頭の柔らかい幼稚園児・保育園児ぐらいの子どもが当たり前に障害のある人と一緒に過ごし、意識を変えることが必要という話につながってくる。また自分たち大人が理解するためには、当事者がどんどん社会に参加できる場をつくっていくことが手っ取り早い。以前テレビで「注文を間違える料理店」が放送されていた。認知症の方が注文を取りに来るが、間違えるかもしれず何がでてくるかわからない、でもそれが楽しみだという内容だった。また手話でコミュニケーションを取る聴覚障害者が運営している居酒屋があって、そこに行ったお客さんが疎外感を感じて手話を習おうと思ったという話もあるそう。このように当事者が社会参加してくれることが、理解につながるのではないかという話をした。 具体的な話としては、ITをもっと有効に使うべきといった方法論の話になり、いろんな例を出して話し合った。 Cグループ (委員) 聴覚障害の委員の体験談をもとにグループディスカッションをした。お話いただいた内容としては、まず電話対応時の音声ガイダンスは、要約筆記者や手話通訳者がいないとそもそもアクセスできず、諦めてしまうという話。高齢者の方からも使いにくいという声があるそうである。 次に、銀行などの窓口に耳マークがある場合でも、実際には筆談対応は最初だけで、そのうち口頭だけになってしまう。結果として話がわからないまま終わってしまうという話。 また、銀行や警察に対する問い合わせについては、緊急時以外は特定の登録者に対してのみFAXを使用することとしており、送信間違いを避けるため、それ以外の人の問い合わせにFAXで対応していないそうである。回答を得るためにわざわざ窓口に行ったり、郵便での返信を受けて、また窓口に行って回答を得たりする必要があるという話であった。 これらの体験談を受けて、自分たちに何ができるかということを話し合った。最近はスマートフォンなどの普及が進んでおり、テレビ電話やメールがあるのが便利だという話があった。聴覚障害者だけではなく、高齢者にも共通で便利なものもあるそうである。その後行政の窓口対応の話になった。行政が職員を対象に行う研修は、障害理解について広く浅くという内容が多い。しかし、当事者としては、専門の人や深く理解のある人が一人いてくれるほうが助かるそうである。また行政以外が行う研修に、個人の関心だけでは参加が難しいのが現状であり、行政の支援が必要という意見もあった。 Dグループ (委員) まず、「インクルーシブ社会」を一般の人はどう理解してくれるか、これが一番大事な視点だと私たちは思っている。そこで理解してもらうためにはどういう行動が必要かということを考えた。 体験談の中では、学校教育や集団参加といったテーマの中で様々な問題があった。当事者が参加できる活動が選ばれているかどうかを、みんなで考える場所が必要。また、すべて参加できなくても、部分参加でもいいから見に行けるというのも1つの参加だということを意識した。当事者と、小さいころから自然な環境で共に学ぶということ、クラスの一員として役割を持つことが大事。一方で必要な介助員の費用の問題についての指摘もあった。 また、体験談の中で企業における障害の理解が進まないという話があった。企業側も当事者がどんな仕事ができるかわからず、そのまま就職するとトラブルが起こるということがある。当事者側からも自分のできる仕事や必要な配慮について企業にあらかじめ伝えることも大事なのではないか。また、様々な対応事例があると思うので、企業内で共有したり、社員研修で啓発していったりするのがよい。 飲食店で十分車いすユーザー対応がされていなかったという体験談では、すべての店で改築などで対応するのはとても無理だと思う。ただし、車いすで入店できるスペースがないような店は、本当は使わないほうがいい。そうすれば差別化ができる。一般の人も障害者も両方入れるお店が流行る状況を作らないといけない。店側もいろいろな話し合いを経て、こういった配慮を行えばお店が流行るとわかればとても良い。対応事例集や障害者も入りやすいお店を一覧にしたものを作成し、皆が見ることができるようにすればいいのではという提案もあった。障害者自らが発信していくことも大切。今までは少し足りない状況。障害者の希望ばかりを伝えてもなかなか対応していただけないこともある。対応してもらうには、自ら発信していくことが重要。そういう面でいいのは、体験談をお話しいただいた委員はご自身でいろんな発信をして、障害のない方と一緒に過ごせるような状況を作っておられる。それは大事なことだと思った。 (2)部会長、副部会長によるまとめ (部会長) 4つのグループからそれぞれ大事な部分について発表があった。重なる部分もあったし、いろいろアイデアもあった。 例えば、Aグループからは、見える化、ドラマ化などによる困り感の具体化といった伝え方についての話があった。伝え方のビジョンをこれから考えていきたい。交通の体験談では、ヘルプマークをつけているのに本人が困っているという話だった。しかし、ヘルプマークを理解している市民が今どれぐらいいるのか。1割もいないのでは。ヘルプマークの意味や役割について、どうすれば発信力がもてるのかということが課題。バスの運転手のアナウンス、ポスターでの宣伝やスマートフォンを使って周りの人にヘルプを求める仕組みなどいろいろアイデアをいただいた。ぜひとも生かしてほしい。 Bグループからは、一番根本的な問題が出た。子どものときから一緒に生きていく仕組みをどう作っていくか。子どものときから共に当たり前に障害者を含めいろいろな人がいるという仕組みをどう作るか。そこがうまくいくと、当事者が大人になってからの就労、教育、暮らしの場や社会参加が広がる。したがって子どものときからの施策の展開をどうするのかが大事なテーマで、その中でITの活用をどう考えるのかも大事なところ。 Cグループからも聴覚障害の方の場合のスマートフォンの活用をどうするのかという話があった。後、住民を対象とした様々な研修については、行政のバックアップが必要。行政が関与するとインパクトも違う。行政がこれから様々な住民の研修に関与していくのが大事なテーマである。 Dグループからは、当事者が参加できる仕組みをしっかりと作っていかなければならないという話があった。参加する仕組みとして一番大事なのは、合理的配慮の確保である。本人が合理的配慮の必要性をうまく伝えるような仕組みと、ガイドラインや事例集などで受け手のほうも学べる仕組み。これらの仕組みにより、当事者が参加できるフィールドを広げていく。そして、障害者が利用できる店、障害者が使える事業所をこれから明石市は評価していって、障害者だけでなく市民全体にアピールしていく。「この店は誰もが使える、誰も排除しない良い店である。」という形で、お店のPRとして展開していく仕組みを作っていくというのはいいアイデアだと思う。ぜひ、活用していってほしい。 (副部会長) 今グループで話しあったこと、他のグループから出た意見及び部会長の指摘を踏まえて、そのことが条例の骨子案や具体的な取組案の中に盛り込まれているか、再度グループで話し合った後にご意見をいただきたい。その際にお願いしたいのが、部会長に整理していただいたポイント。例えば、みんなで考え合う、配慮があるのが当たり前、関係性を変える、理解や配慮を進めるなどといったことが骨子案に書かれているのかチェックしてほしい。足りない部分や、書き足したほうがいい部分についてもチェックしてほしい。個別に意見を求めるのは簡単だが、なかなか意見を出しにくいと思うのでこの方法を取る。15分間でグループの中で話し合って、わかりにくい部分や資料2に書かれている取組例では弱いといった点も含め、意見を出していただき、全体での討論としたい。 (3)骨子案への意見 ・全体的に条例の文言がわかりにくいので、もう少し一般的で具体性のある言葉にできないか。市民に、そしてこどもにもわかる表現で、また当事者の言葉が用いられるべきではないか。 ・市民の役割のところで、「協力する」「努める」という表現では弱すぎるのではないか。「一般の方がもっと意識を変えないといけない」ということを伝えられる強さが必要ではないか。 ・事業者の役割のところは、企業やお店が実際に何をしていくべきなのかということが伝わりにくいのではないか。 ・当事者参画のところに、「当事者自身も発信していく」というような言葉があっても良いのではないか。また、「多様なチャレンジの機会を作り出していく」というような表現もあっても良いのではないか。 ・「財政上の措置」と「福祉人材の確保・育成」の項目にもう少しつながりが感じられる表現にできないか。人材の確保・育成はすべての施策の土台になるので、そこと財政上の措置の関係がもう少し明確になった方が良い。 ・総合相談について、個人情報の取扱いに関する積極的な表現があっても良いのではないか ・市民、事業者への啓発について具体的な項があっても良いのではないか。 ・当事者参画についての項が、主語が市になっている。地域や地区社協などの活動に当事者が当たり前に参加していくまちづくりを進めるのであれば、市だけでなく市民、地域が一緒になって促進する旨書いた方が良い。 ・誰とどこでどうやって住むか、という権利について言及できないか。 ・教育についての項が、学校教育のことについて書いているのかがわかりにくい。学校の役割などを明記した方が良い。 ・この条例の対象者は誰なのか、つまりすべての人に関係のある条例であるということが少し伝わりにくい。「支援を必要とする状態にある市民」との表現はあるが、今後支援が必要になるかもしれない人にも関係があるとイメージしにくい。すべての市民に、自分にも関わりのある条例だと思ってもらえる工夫が必要。 ・教育の項について、様々な研修の実施は確かに必要だが、当然のことで理念的すぎるのではないか。もう少し学校の環境整備や条件整備に関わる部分について、しっかりと財政的な措置という支えがあるということが感じられるようにしてほしい。 (4)骨子案に関する意見交換 (副部会長) 各グループから非常に広範な良い意見が出た。業務で関係するオブザーバーもいるのでいくつか伺いたい。まず、「どこで誰と暮らすか」という話に関して、地域移行や地域定着支援については今明石の中で進んでいて条例に書く必要がないのか、それとも進んでおらず、考えていかないといけないのか。この点についてはどうか。 (オブザーバー) この問題については、自立支援協議会などを通じて、問題提起をずっとしている。現状としては、家族がいなくなると市内のグループホームだけでは定員オーバーで対応できない。その結果、そういった方は他市に移ってしまう。障害の関連部署にいる人はみんなそう理解をしている。 (副部会長) 自立支援協議会や障害福祉計画では地域移行は謳っているものの、現実には進んでいないという理解でいいのか。 (オブザーバー) 地域移行・地域定着サービス利用実績は確かに計画値を下回っているが、報酬単価や法定のサービスのあり方が必ずしも地域の実情とマッチしていないという現状もある。例えばサービスを利用できるのは長期入院している者となるが、市内の病院によっては長期入院がほとんどないところもある。また、病院としても退院支援の取組を実施しているので、地域移行を推進していくのであれば、病院とも相談の上、当事者が地域で暮らしていくにあたって障壁となっているものをなくしていくための取組を市が提案し実施していくことが必要になるのではないか。 (副部会長) 身体、知的の入所施設についてはどうか。 (オブザーバー) 身体の入所施設は市内に1箇所しかない。知的の入所施設も多くあるわけではない。入るのに順番待ちしている状況で、退所する方も出た後の行先がない方が多い。かなり難しい方が多く施設に入っているのが現状。 (副部会長) 今の意見を聞くと、どこで誰と住むかについて条例上で担保されるということが障害福祉関係部署側からしても必要という理解でよいか。 (オブザーバー) 精神障害者で自己の意思を持っている方はいる。自己決定を支援するという形の明文化は必要と思う。 (副部会長) 「骨子案の文章が固くてわからない。」という意見や、「もう少し具体的に踏み込んだ表現を。」という意見があったが、実際に条例の文章として書けるのか、例えば障害のある人へのわかりやすいバージョンを作るとか別の方向で考えたほうがいいのか。法律家的観点から見てどうか。 (オブザーバー) 条例という性質上、ある程度法制執務上のルールに従ったものを当てはめないと、イメージした効果が出てこないという恐れはある。条文が多少難しくなってもある程度やむを得ない。内容を説明するパンフレットなどで平易性を担保するというのがセオリーであると思う。この条例は理念条例という性格があり、一定程度わかりやすくできると思うが、基本的には広報などでわかりやすく示していく方向にならざるを得ないと思う。 (副部会長) もう一つ複数のグループで、教育に関する意見が出た。オブザーバーの考えはどうか。この条例は福祉的な要素の強い条例だが、その中で教育もテーマとして書かれている。一方、教育に関わる人たちは教育基本計画などを大事にしていると思う。この条例の中に教育のことが書かれていても、教育基本計画などにも同じ内容が書かれていなかったら、効果がないのではないかと個人的に心配している。 (オブザーバー) 「インクルーシブ教育の推進」とあるが、骨子案では関係者にもう少し理解してもらうという内容だけで自分が役所に入って間もない時代の障害者理解教育の内容に終始している。本当はそれに加え、公の施設としての学校が、障害のある子どもも障害のない子どもも共に学ぶ学校をつくっていかなければならない。これは現行の教育基本計画にも記載があるし、2年後に作り直す計画にも多分記載することになる。この条例に同じ内容を入れたとしても、それが原因で義務的にやらなければならないという状態にはならない。現実問題として、既に学校は対応を迫られている。個人的には、共に学ぶ学校づくりをより進めていけるようにこの条例があり、例えば介助員を増やしたり、医療的ケアのために看護師を増やしたりといった場面における予算要求の後押しになるような形に位置づけるべきと考える。この条例があるからといって直ちに学校がアクションを起こそうと思うかどうかは別にしても、学校は対応せざるを得ないことも事実。対応すべきという流れにここ数年特に進んできているような気がしている。 (副部会長) これまで様々な意見が出た。ここで、部会長と事務局からもコメントをいただきたい。 (部会長) みなさんからいろいろな意見をいただいた。一番大きなテーマとしてまず、より一般的で具体的な言葉でどこまで表現できるかという問題がある。できるだけそういう形で展開したいと思っている。一方法制上の根拠性と効果性を担保する必要もあり、慎重に考えながら、できるだけわかりやすく具体的な表現としていきたい。 2つ目の大きなテーマとしては、「障害者その他のすべての市民」という表現で、果たして「誰一人取り残すことなく助け合うまちづくり」や「様々な状態や状況の市民が互いに多様性を尊重し、異なる価値観を認め合う。」というイメージがすべての市民に湧くのか。一部の障害者の方だけの条例であって自分たちには関係ないと捉えられてしまう心配がある。それを避けるために定義を考えたと思うが、例えば、障害者・高齢者・児童などという表現で幅広く入っているイメージを持たせるなど、アイデアを出し合いながら、自分たちが関係していると思えるようにするのが大事なところ。基本理念の1番目には、障害者等の定義として「障害者のほか日常生活や社会生活の様々な場面において支援を必要とする状態にある者」と書かれている。その支援が断続的、継続的、一時的なものなのか、アメリカの定義のように「かつて支援を受けていた。」ということも含まれるのか、また潜在的なニーズがある者も含めるのかなど、この定義はすごく大事なところ。 その他どこで誰と暮らすかという話。共に学ぶ教育のインクルーシブのイメージと共に働くイメージと共に暮らすというイメージをどのように書き上げるのか。希望せずに施設や病院にいる方の地域移行を含めたビジョンをどう書くかという材料も挙げられた。ぜひともしっかり考えていかなければと思っている。 市民、事業者への啓発の話については、障害者配慮条例で強く謳っている。この条例でも謳うのかといった点を配慮条例との整合性も踏まえて考えてほしい。 関係者の責務・役割で、「市民の役割が弱すぎるのではないか。」、「協力するように努めるといった甘い表現でいいのか。」という意見もあった。どんな表現であったとしても法的な根拠として拘束力を持たせるのは困難であるが、イメージとして弱すぎるのではないかという意見であろう。事業者の役割の部分でも、これからの企業の社会的貢献も含めて、もう少し事業者の積極的な参加参画のイメージがいるのではないかという意見だった。 それと、当事者参画の項目で市の部分が強調されているが、当事者自身の発信の仕組みをどう作るかという問題がある。市民や事業者に対しても当事者参画をもっと強く打ち出すべきであり、行政に対しては絶対的な義務を負わせるべき。これからは市民や事業者が実施する研修や活動についても当事者参画は義務であると言えるぐらい強い表現をすべきといった意見をいただいた。 財政上の措置については、必要な財政上の部分と制度や人材、つまり制度と人材とお金の結びつきを明確にしていかなければ弱いという意見もあった。 最後に教育のテーマで、例えば障害児の話では、障害のある子どもが普通学校と支援学校のどちらに通うのかという場面で、気になっているのが保護者の立場があまりにも弱すぎること。専門家に囲まれて、いろいろ言われる中で自分の想いをちゃんと言える保護者はそんなにいない。障害者の家族に対してのサポート、支援、権利擁護の仕組みをしっかり作っていかなければならないし、合理的配慮の提供やバリアフリー化の促進に係る具体的イメージについて制度設計や予算措置を謳っていく必要がある。理念だけでない条例になればよい。 (事務局) いろいろな話の中で、わかりやすい条例にするべきだというご意見はごもっとも。一定の効果を担保する必要性はあり、別の媒体でわかりやすく説いていく方法もある。ただ、そもそも「インクルーシブ」という言葉がわかりにくいという議論が既にいろいろなところで出ている。この考え方自体をしっかり広めていくということが大事という意見も検討会で出ていたので、それらを踏まえ、様々な取組を進めていくことになると思う。条例の文言についても、一定程度は言葉を選んでいく中で、選択肢がいくつかあった場合、今までの条例で使っていたからという考え方ではなく、よりわかりやすい言葉を使っていくということも含めて、条例の中身を作っていく段階で考えていくべきである。 啓発については、障害者配慮条例の2つの柱のうち1つとして謳っている経緯があり、また配慮条例に基づく協議会の会長が部会長という関係もあるので、同協議会で具体的に進めていく。今日出たように、今までどおりの平たい啓発ではなく、様々な方法をつないでいくようにする。また、これまで積み重ねてきている部分もあり、ミックスして進めていければいいと思っている。 財政的な措置の話も出たが、条文の中で具体的に紐付けることについては、条例の構成の中で一定程度整合性を持たせるようにしなければいけないという部分もある。ただ資料2の具体的取組案の内容は今日の段階では抽象的なので、この資料との関連で財政的な部分を見ていくというのも難しい。12月議会で条例を上程していく予定だが、予算に関する協議も一定程度それぞれ関わっていただいた部署、自分の部署を含む様々な部署で進めていくことになる。それを進めていくにあたっての題材になるのが資料2になり、これを次回検討会で膨らませていく。今日出た意見も含めて、次回の題材としてしっかり膨らませ、財政的な措置という部分の関連を見える化していくことで、今日疑問に思ったところが、一定程度担保できると思っている。 (副部会長) 最後に副部会長からコメントさせていただく。前半にあった体験談に基づく議論の中で、配慮があるのが当たり前とか、みんなで考え合うとか、共に学ぶということが、この骨子案に書かれていたらいいと感じている。例えば、共生の営み、学び合いといったことが骨子案に書かれていて、それを具体的に実現するために、例えば教育や啓発において必要なことがはっきりすると、今日の前半でやったエクスクルーシブな体験の議論の中からインクルーシブの方向性が見えてきていいのではないか。 6今後のスケジュール(資料4 事務局より説明) 7閉会