第4回(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会 ユニバーサルデザインの街づくり部会議事概要 場所 明石市民会館第1、第2会議室 日時 令和元年5月16日(木)13:30-16:30 1開会 2部会長挨拶 3条例骨子案及び具体的取組案の説明(資料1、資料2 事務局より説明) 4「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり重点モデル地区実行計画」及び今後のユニバーサルデザインのまちづくりに係る取組の説明(参考資料 オブザーバーより説明) 5グループディスカッション(資料3 事務局より説明) 6グループディスカッションを踏まえた協議 (1)グループディスカッションの報告 Aグループ (委員) 旅行・レジャー、交通、病院の3つのテーマの体験談をもとに話し合った。 旅行・レジャーについては、車いすで映画館やアミューズメントパークに行ったときに、映画やパレードを決まった場所で見なければならず、一緒に行った友達や家族と離れなければいけなかったという話だった。そうではなくみんなで一緒に楽しめる環境を作ってほしい。車いす席を作って終わりではなく、行った人が仲間と一緒に楽しめるかということが大事。それを可能にするために、固定ではなく可動式の車いす席があったり、家族で一緒に座れる場所があったりしたらいいという話になった。 交通については、最近増えてきているノンステップバスがどの路線でどの時間帯に走っているかなどの情報が手に入れられないという話。また、電動車いすが乗り込めるタイプのタクシーの多くは9時から5時までしか対応しておらず、それ以外の時間帯に乗りたい場合は、地域のタクシー会社とあらかじめ折り合わせないといけないという話。例えば連絡すると情報が一覧で入手できる拠点のような場所があればいいという意見があった。 病院については、聴覚障害者が順番待ちをしているときに、音声案内しかなく順番を飛ばされたという話。例えば最近増えてきている電光表示板で案内してもらえると良い。また困りごとについて要望を伝えるためのアンケートのようなものがあったら良い。病院によって対応が違うとは思うが、病院側でも障害の理解を深める研修をしてもらえると良いという話があった。 Bグループ (委員) 車いすユーザーの委員の体験談をもとに話し合った。体験談の1つは交通のテーマ。電車内の車いすスペースの隣が優先座席で、車いすユーザーと一緒に来た友人の居場所がないという話があった。ハード面では一緒に来た人が座れるスペースを何とか作れないかということ、例えば隣の優先座席が空いているときは「一緒に来た人どうぞ。」といったメッセージを流せないかという意見が出た。 2つ目は病院などで土足禁止の場所があり、車いすで入っていいと言われても、実際に車いすが汚れているととても気を使うという話だった。車いすの車輪を拭いてくれるといったソフト面の対応をしてくれるところもあるし、汚れたところを取るシートのようなものを利用してハード面で対応するという方法もある。汚れた状態で入るという点に着目すると、車いすだけでなく、盲導犬を連れていた場合も周囲の人達の心配、気掛かりがある。周囲の理解を得るための話し合いも必要になってくるのではという話になった。 3つ目は、ハード面の不備。現在は設置されているホテルが多いと思うが、昔電話予約したホテルにエレベーターがなかったという話。駅のロータリーのバス停で歩道橋の階段からしか行けないような場所に設置されているところも多く、車いすユーザーが簡単にたどり着けないという問題も指摘された。解決するのに共通するのは、ハード面の不備を改善していくということ。ただ、設計する人達の範囲内だけでは良い案や困りごとがイメージできないこともある。当事者のヒアリングなど多様な人達の声を聞いて、設計段階からみんなが利用できるようにすることが必要。またハード面を整えていっても目に見えないバリアもある。ソフト面を重視し、情報提供を十分にすることや、困っているユーザーとそれ以外のユーザーが話し合う場を設けて理解し合うことも重要。今回ディスカッションに参加して、当事者達が周りにとても気を使い、遠慮していると感じた。これまで感受性が低く、無関心で何も考えずに移動していたなと反省した。様々な方の話を聞きながら進めることが重要であると感じた。 Cグループ (委員) 視覚障害の委員の体験談をもとに話し合った。1つは盲導犬ユーザー2名と晴眼者数名で食事をするときに4か所目で入店が決まったという話。つまり3か所に断られたという話。盲導犬に関しては法律があって、入店拒否はダメとなっているのに今でも拒否されるケースが多い。2015年10月に阪急百貨店で盲導犬・聴導犬・介助犬の啓発キャンペーンをやっているときに、同じフロアの飲食店2軒が介助犬の入店を拒否したという話があった。新聞記者にどう思うか聞かれたので、そういうお店は阪急百貨店から追い出したらいいと答えた。法律ではっきりと拒否してはいけないとなっているのに、いまだに拒否があることが非常に悲しい。明石市では盲導犬の啓発キャンペーンをしているので、まず理解を深めてもらい、盲導犬を拒否するようなお店は明石では恥ずかしくて営業を続けられないような取組をしてほしい。盲導犬協会だけでなく、明石市が動くことが必要。盲導犬に関しては理解が進んでいないと非常に厳しい状況になる。 また、委員の父親が救急車で病院に運ばれたという話。委員自身がその病院に行くためタクシーに乗り、運転手に病院の中まで誘導をお願いしたが誘導してもらえなかったそうである。駅員やバス運転手は、仕事として視覚障害者の手引きや誘導の範囲が決まっているが、障害者としてはその範囲を超えて融通を利かせてほしいと思うはず。それぞれの仕事の範囲を少し超えて、コミュニケーションを取りながら対応できると、障害者がもっと街に出やすくなる。 視覚障害者は一人で買い物に行っても楽しめないという話もあった。これは外国人も同じ。聞かれたことに答えるだけでなくさらに情報を教えてもらえるなど、プラスアルファの情報提供が得られる街になれば良い。 視覚障害者は宿泊施設で温泉や大浴場を楽しめないという話については、初めての施設では床が滑る心配があったり、シャワーがどうなっているかわからなかったり、シャンプー、リンス、ボディーソープの判別ができなかったりすることが理由。またそれらの情報を得るために誰にどう頼めばいいか非常に難しいということ。委員は他人に頼むのはすごく気を使うし、それは家族でも同じということだった。 観光では温泉・大浴場・スーパー銭湯等で楽しめるかということが大切で、すべてに答えがある訳ではないが、いろいろな障害者が実際入ってみて、どんな情報や配慮が必要かを発信することによって、お店や観光協会、観光ボランティアなどが経験値を少し増やすことができる。体験談をお話しいただいた委員が遠慮なくどこでも行ける明石になれば良いと思う。 Dグループ (委員) Dグループでは聴覚障害者が困る事として3つのテーマの体験談をもとに話し合った。 1つ目は交通。電車に乗っているときに事故等で電車が止まった場合、音声アナウンスによる情報だけでは聴覚障害者は状況がわからない。音声以外の方法、例えば文字での情報提供が必要。乗客同士で助け合うことも必要。聴覚障害者には音声以外の方法で伝えることが大事。 2つ目は宿泊。ホテルをインターネットで事前予約できるが、実際ホテルに着いてフロントとやり取りをするときには筆談で対応してもらえればありがたい。また部屋でテレビを見るときに、聴覚障害者は音声だけではわからないので字幕が必要だが、字幕を表示するボタンがホテルのリモコンには付いていない場合がある。フロントに字幕ボタンがないことを伝えて対応してもらい、字幕放送を見ることができたということもあった。宿泊の場合でも音声以外で情報が得られるようにしてほしい。 3つ目は観光。美術館や博物館には音声放送やガイドがあるが、音声による案内が豊富である反面聞こえない者にとっては情報が入りにくい。音声以外で情報を得られる方法も考えてほしい。観光パンフレットや筆談ボードを備えておくなど。また受付に手話ができる人がいれば、手話で案内してもらえて非常にわかりやすい。このように情報提供やコミュニケーションの手法が整備されていれば社会参加しやすい。また聞こえない人の中には聴覚障害であることを発信できる人もいるが、他の人に隠しておきたいという人もいる。聞こえないことを教えてほしいと周りの方は思うだろうが、なかなか発信できない方もいるということを知ってほしい。いろいろな人がいるということを想定した上で、文字情報やイラストなど複数の方法で検討しておくと良いのではないか。聞こえない人がいる、見えない人もいる、車いすの人もいる。社会の中ではいろいろな人がいるという前提で、市民と障害当事者の交流の機会を増やして配慮の方法など理解を広めていくことが必要。また無人駅等でインターフォンでしか問い合わせできないところがあるが、聴覚障害者など自分で話すことができない者にとっては問い合わせすることができない。 Eグループ (委員) Eグループでは車いすユーザーの事務局職員の体験談をもとに話し合った。 1つ目は宿泊。ディズニーのオフィシャルホテルでバリアフリールームをお願いするとグレードの高い部屋が用意される。高い追加料金が発生するので通常の部屋にしか泊まれない。特別扱いでなくリーズナブルな金額でバリアフリールームを使えないかという問題。 また、ホテルのインターネット予約をした後に電話でバリアフリールームの確認をする。ビジネスホテルには必ず1部屋あるが、空いていなければ予約できないという話もあった。バリアフリールームの数を増やしてほしい。具体的にどこをバリアフリーにしていくかということだが、トイレや風呂の段差を無くしてフラットにする、手すりや滑り止めを設置する、また、入口のドアが開き戸だと車いすユーザーには重くて開けにくいので引き戸に変えるといったことが考えられる。西明石駅前の新しいホテルは全体の半分くらいの部屋がバリアフリー対応の部屋になっていて良い。標準設計で一般の部屋もみんなが使えるバリアフリー対応になっていかないといけない。バリアフリー対応の部屋にするには、部屋の広さがポイントになってくる。部屋の広さによって金額が上がるのは仕方がないかもしれないが、例えば、3部屋を2部屋にリメイクするといったことをやっていかなければならない。それを実現するにはホテルや旅館組合などが指針を出したり、業界の取り決めを作ったり、最低限の基準の義務付けがあったりすればよいという意見もあった。そしてその際には、チェックしてアドバイスするワークショップを観光・宿泊・交通などの特定のテーマに絞ってすることが有効という意見があった。 2つ目の交通では、空港バスのように座席が2階にしかない場合、車いすのままで乗車できないという話があった。10台のうち1台でもノンステップバスを運行してもらえると助かる。 3つ目のレジャーでは、ディズニーランドのパレード鑑賞で車いすエリアには車いすユーザーと介助者の2人しか入れないので3人以上の家族で行くと離れて鑑賞することになるという話。またジェットコースターに自身で避難できないと乗れないという問題もあり、避難時の対応として海外のようにレスキューを配置するなどみんな平等に楽しめる工夫をどんどん広げてほしい。またホテルや飲食店のバリアフリー情報を写真付きで公開してほしいという意見があった。 (2)グループディスカッションを踏まえた意見交換 (部会長) それぞれのグループから「インクルーシブなまちづくり」について、まだまだそうなっていない現状を踏まえて話していただいた。体験談を出してもらった方から一言、条例に対する期待を述べてほしい。 (委員) 今回様々なテーマについて話し合い、あらためて当事者参画の必要性がよくわかった。合理的配慮については、確かに当事者の思いや考え方がある。ただ当事者以外の一般の人もいるわけであって、両方からの着地点の部分で合理的配慮を考えられると良い。 また、今まで当事者と関わりが少なかった方との距離感がうまく縮められるような形で進めることが大事。「当事者の思いだけで」といった部分をなくし、様々な方と接点を作り、お互いの理解につながるような形になれば良い。 (委員) 視覚障害の立場からいろいろ意見を言わせてもらった。いろいろな面で障害に関しての理解が十分に広がっていないからこそ、どうしていいかわからなくて上手くコミュニケーションが取れなかったり、良い改善策が見つからなかったりというところにつながっている。理解を深める意味でも普及啓発の勉強会などに力を入れていただくと、前に進んでいくと感じている。 (委員) 一般の方に今よりさらに障害者理解を深めてもらい、お互い歩み寄って障害の有無に関係なく交流することが大切だと思う。困ったときにお互いに協力し合える関係が築ければ良い。 (事務局職員) 新築のホテルはもちろん既存のホテルを改築改装するときに、必ず県のチェック&アドバイスを用いてアドバイザーが確認し、助言していく。その中に車いすユーザーだけでなく、複数の様々な障害当事者がアドバイザーになってチェックしていくことが大事。バスにしてもタクシーにしても実際利用する障害者など弱者の意見を反映していけば良いものができると思う。 (部会長) 「一人だけ」とか「他の人とバラバラに」といった体験談が多いとグループで言われた。意識してそのような体験談を書いたのではない。つまり、インクルーシブでない状況というのはどういう状況かということだが、そもそも拒否というのはインクルーシブでないというわかりやすい状況。それよりも例えば、映画を見ることはできるが一人だけ家族と離れた場所で見ないといけないなど一人ぼっちだったりバラバラにされていたりする状態がインクルーシブでない状況であると感じた。 また、旅行・レジャー・交通などのテーマが設定されていたが、インクルーシブをさらに前へ進めていくためのキーワードとして「誰もがみんなで楽しむ」具体的に言うと旅行やレジャーに関連してホテルや博物館などを利用して豊かに暮らしていき、いろいろな人と交わりながら一緒に楽しむということ。そして病院など救急対応時の安心感。「安心して誰もがみんなで楽しめるまち」がインクルーシブな明石の姿であってほしい。 (副部会長) ある遊園地で盲導犬を見た係員が「ワンちゃんはここまで」と言った。盲導犬はワンちゃんではない。視覚障害者の体の一部でありペットではない。体の一部をここに置いて中に入ることはできない。そういうことがまだ理解されていない。盲導犬の話が出て、私も共感した。また空港バスはリフト付きバスにしなければならないとされているが、高価なこともあり広まっていない。私見だが全て低床バスにすべきだと思う。しかし、現在日本では空港バスを低床バスにするつもりはない。理由は、空港バスは高速道路を走るので構造が全然違う。底をすってはいけないということや、時速100qに対応しないといけない等いろいろ決まりがある。ただそこから低床バスは使えないという話になるのには、ものすごい飛躍がある。なぜか。一番トップから末端までの役人に思い込みがあるからである。外国に行くと空港バスはノンステップバスを使っているところがいくらでもある。政府の委員会が指示してくれれば現在の空港バスを可能な限りノンステップバスにする開発をいつでもするが、そういった実情から最後の議論までなかなかいかない。結局今はリフト付きバスには1台か2台しか車いすが乗れず、話にならない。国を挙げて進めていかないと変わらない。 20年前から要望や苦情の内容が変わってきている。一般の理解としてはまだ目の前に見えるものがバリアフリー。視覚障害者の問題にしても晴眼者が考えているから、視覚障害者のニーズの隅々までわかる訳がない。車いすエリアの問題は家族や友人と一緒に見たいといった人間として当たり前の部分だがまだまだそこまで至っていない。欧米は遥かに進んでいる。日本は当事者が要望を出さないとなかなかわからない。 最後に誤解を承知で言うと、社会の中の分断が非常に進んでいる。性別を明らかにしたくない人とそれに対して偏見を持っている人の間で相当酷い言い合いがネットで飛び交っている。その中で疲れている方が社会の中で格段に多くなっている。30代40代の若い中堅の人が、4割から地域によっては5割の人が非正規で、更にその半分の人が夜の労働を強いられている。行政では分からない過酷な状態が市民の中で広がっていて、そういう方にも理解してもらえるバリアフリーにしていかないといけない。誤解を恐れずに言うならば、結婚ができず子どもも作れない方もいる。そのことを考えずに「ベビーカーで子どもを連れているから席を譲ってもらって当然」みたいな他人への理解がない考え方は分断の要素になってくる。ヘルプマークを広げることも大変大事だ。しかしヘルプマークだけでは解決しない。お互いの理解というところまで行きつく必要がある。 (3)条例骨子案について (部会長) 今の話の最後のところは、この条例が目指す誰も取り残さない社会の在り方という話だった。 条例の骨子案についてどう反映させていくか等、質問、意見はないか。 (事務局) 前回まで3回検討会を開催したが、まとまった条文の議論はしてこなかった。どちらかというと今までの体験や感じたこと、それをどう解消するかといった個別の、ピラミッドでいうと一番下から積み上げていく形で検討会を構成していった。骨子案は膨大な意見を抽出して要素を条文化したものになり、これまでの委員の皆さんの意見のエッセンスがどこかに入っていると感じられたら良い。ただ全ての意見を網羅できていないという懸念もある。忌憚ないご意見を伺いたい。 (委員) 条例の骨子案ということで資料が何ページかあるが、実際条例となると文章で難しい言葉で作られる。一つ一つ理解していこうとすると時間がかかる。例えばイラスト等見てわかるデザインのものができると良い。 (事務局) 条例には、法律と同じく一定のルールに従うことが求められている。ただ今回様々な困りごとや解決するための取組に関する意見が出ている。それをまったく対応できないままで検討を終わらせてしまうことは、皆様にも理解が進まないと考えている。少なくとも条例の中身が具体的取組とリンクすることが必要。後は条例の逐条解説などを通じて理念を深めていきたい。見てわかるデザインについてだが、わかりやすさというのはインクルーシブの要素に入っており非常に重要なものだと考えている。どういったものが作れるかというところはあるが、インクルーシブの周知、広報という面でイラストなど視覚的にわかりやすいものが必要というのは委員のおっしゃるとおり。いずれにしても条文のみでこの条例を理解してもらうのは難しい。今後理解を深めるための手法や理解してもらいやすさなどを検討していく。 (委員) 骨子案を改めて読むと、障害者の権利条約やSDGsなど私が知っている大事なことが全部書いてある。他にも差別解消や災害時要配慮者やユニバーサルツーリズムなど必要な要素が入っていてすごく良い。検討会の最初に市長が明石市内のどのお店もバリアフリーにすると言われていた。実際大規模な工事をしなくても1段の段差のみで車いすが入ろうと思えば入れるといったお店は明石市には多くあって、ちょっとした取組や配慮でバリアフリーになるケースはたくさんある。全てのお店をバリアフリーにするというのはわかりやすい。盲導犬で言えば「明石市は盲導犬を拒否するようなお店はない。」と書くなど、わかりやすさが必要。あと先ほど言い忘れたが、具体的な話でシャンプー、リンスは元々ユニバーサルデザインでシャンプーにはギザギザがあり、リンスにはない。見えなくてもわかるよう配慮されている。ただスーパー銭湯に行くと、詰め替えているのかシャンプー、リンス、ボディーソープの違いが分からない。明石市の銭湯やホテルではシャンプー、リンス、ボディーソープの違いがわかるといった具体的な取組が進めば良い。視覚障害でいうと自分も目をつぶってトイレに入ると水を流すボタンがどこにあるかわからない。明石市のトイレを使いやすくするための具体的な取組が進められると良い。 (事務局) 「どんな小さな店でも・・」といった部分に関しては、この条例自体は大きな範囲を網羅するしっかりした理念を定める条例であるところから、特定の方に義務を課していく規制条例ではない。その中でどのような具体的取組ができるか同時並行で検討を進めていく必要がある。骨子案の5ページ「ユニバーサルデザインのまちづくりに関する基本的な施策」の@「生活関連等施設の整備等」の中で「障害者等をはじめすべての市民の尊厳が大切にされ、誰もが分け隔てなく利用できるよう配慮されたものでなければならないものとする。」といった方向性を示し、これをベースに具体的な取組がどのように展開していけるか。既存のお店を壊してバリアフリーにしていくというのも現実的ではないので、どういったことから着実に実行していけるかというところをこの条文をよりどころに考えていきたい。 後半のユニバーサルデザインの話についても次回第5回までの間に条例施行時にどうした具体的な取組が展開できるか、条例施行時にできなかったとしても今後どう展開していくかといったことを再度事務局で詰めて、取組を具体化し、意見を伺いたいと思っている。 (委員) 骨子案の3ページ「関係者の責務・役割」のところに、市民の役割が書いてある。条例はこういう書き方をするのかも知れないが、条例によって市民が主体的に動けるようになることが本来の姿だと思う。元々市民は行政の市の代表の位置づけなので、インクルーシブ社会を実現しようとしている市民は、しっかりチェックや評価をし、良いものを作るために提言し、自ら主体性があるといった役割を書いた方が良い。 また、「インクルーシブ」という言葉自体がわかりにくい。とてもいい考え方だと思うがみんなに馴染みのない言葉なので、わかりやすいロゴマークやイラストなどで啓蒙できれば良い。 (事務局) 条例上一定程度表現が限られてくることはある。その中で市民が主人公でみんな参加していくというニュアンスを役割や基本理念の部分で書ける範囲で反映することを検討する。書ききれなかった場合、逐条解説の説明の部分などでお示しする。 「インクルーシブ」という言葉自体がわかりにくいという懸念については、かねてから事務局でも持っており、また市民からも実際によくわからないと言われたこともある。一方で前回藤井座長が全体会でおっしゃったが、「インクルーシブ」という言葉を今後10年20年見据えた中でその言葉自体を広めていきたいということ。過去もボランティアやユニバーサルデザインという言葉が最初は浸透していなかった。必ずしも「インクルーシブ」の考え方はみんな一致するものではないが、いかにわかってもらうかということは重要。啓発の仕方についてロゴマークの提案をいただいた。啓発については今後の大きな課題と考えている。これも条例検討と同時並行で考えていきたい。 (委員) 実は今一般の聞こえる人の中でもボランティア登録が減ってきている。経済的な理由で他の人をみる余裕が無くなっている状況がある。貧困の問題を解決しないとインクルーシブな社会を実現させるのはなかなか難しい。もう一つは憲法の中で健康で文化的な最低限度の生活が保障されているが、そのあたりが骨子案に入っていない。憲法に基づいて国民の権利や平和などがインクルーシブにつながる部分だと思う。その辺りも盛り込むことはできないか。 (事務局) ボランティアの数が減ってきている、自分の生活で精一杯、今日のグループワークでも旅行・レジャー自体が金銭的な問題で行くことができない方が大勢いらっしゃるのではないかという話を聞いた。部会長、副部会長も緊急時の安心感、何かあったときでも誰もが安心できるということをおっしゃったが、そういった要素も必要になってくる。そこに関して条例に基づく具体的な取組としては心のバリアフリー部会の方で話し合われている事項に近い。インクルーシブを達成するのに委員ご指摘の要素は必要と考えており、完全に網羅できている訳ではないが、4ページの@A5ページのBや、総則の基本理念3ページ2番にセーフティネットとしての必要性を盛り込んでいる。心のバリアフリー部会とも今回の話は共有する。 7副部会長まとめ 先ほど社会的弱者はたくさんおり社会の中に分断は進んでいると言ったが、この条例はバリアフリー規制条例ではなくインクルーシブ条例という名前をつけたことに意味がある。幅広い市民理解が必要であり、この条例の趣旨に賛成し、この条例を守ることで、障害者でなくとも差別を受けている人の苦しみが解決するということを市民一人一人が理解してもらえればこの条例を作る意味がある。そうでなければバリアフリー条例で十分だ。バリアフリー条例も作るのは大変だが、インクルーシブ条例と名前をつけたなら幅広い市民、人の差別を自分の差別とし、人の苦しみを自分の苦しみと思えるといった理念を書き込む必要がある。 先ほど表現にもっと気合を入れて高らかな宣言をするべきという意見があったが、1988年にあった障害者の国際会議で私が紹介したビデオテープがある。スウェーデン政府作成の公式なテープで、「スウェーデンはバリアフリーだからみんな来てほしい」とPRしているものだ。1988年の時点で「移動は権利である。」と障害者が言うのではなく、政府がビデオを作ってまでPRしていたのは画期的だった。これを是非真似をしてみたい。「これだけバリアフリーを頑張っているから是非日本に来てください。」ということや「オリンピック来てください。」といったものを国や兵庫県ではまず作れないと思う。明石市で作らないか。後「バリアフリーにしたから明石市に来て。」とアピールすることで行けないところがあれば罰せられるのではということを恐れてはいけない。つまりインクルーシブ条例は基準に基づいてハード整備がされるということを義務づける条例でなく、明石市は市も市民も事業者もみんな一生懸命頑張っているということを謳うもの。自分の経験上できないことをできないからといって責める障害者は見たことがない。できるのに諦めることをみんな責める。そこのところの考え方が明確にわかるような条例にしたい。あと3年くらいしたら明石市のプロモーションビデオを作りたい。 次に市や事業者の立場から努力するという点について、先ほどのホテルの部屋の大きさの話だが、最近東京都は「福祉のまちづくり条例」を改正して、ホテルのバリアフリーの最低要件として通路幅を70センチとした。私が関わっている大阪府の福祉のまちづくり条例はそれを受けて何とかしようと最低80センチとした。本当はできれば90センチはほしい。70センチではダメだ。つまり東京都の改正も十分とは到底言えない。大阪府が調べたところ通路幅が80センチのバリアフリールームはないとのことだったが、障害者団体から大阪府へ再度要望を出して調べてもらったところ、従来80センチの注文がないから売れ筋には置いていないが80センチ幅は作れるとのことだった。最後まで諦めずに、しかも当事者や市民団体が強く要望を出すと何とかなるという好例だ。私が携わったユニバーサルデザインハンドブックにこう書いてある。バリアフリー化の一番の敵と思えたのは2つある。役人の保守主義と技術者の思い込み。今回の条例にはそれは無いようにしていこう。 8今後のスケジュール(資料4 事務局より説明) 9閉会