資料1 障害を理由とした差別を解消する条例の制定に向けて 1.制定趣旨 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、一般的には「障害者差別解消法」、以下「法」)の成立(平成25年6月)を受け、市は法施行(平成28年4月)を前に、障害者枠の職員採用や障害者施策担当課長の配置を行い、手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定した。各地で手話言語条例が成立する中、明石市ではその必要性を認識した上で、ろう者以外のコミュニケーションに困難を抱える障害者へも配慮するため、従来の手話言語条例の趣旨である「言語としての手話の認識の確認」に加え、手話の他にも要約筆記や点字、音訳など障害者の幅広いコミュニケーション手段の利用を促進するための条例とした。 この条例の検討経過を踏まえ、今年度は、障害者差別の解消に向けた取り組みの具体的施策として、障害のある人もない人も分け隔てられることなく、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまちづくりを推進するため、条例の制定を図ろうとするもの。 2.各自治体における条例の制定状況 平成18年10月、千葉県で国内初となる障害者差別の解消に関する条例が成立し、平成27年5月現在、都道府県としては、千葉県、北海道、岩手県、・熊本県、長崎県、沖縄県、京都府、鹿児島県、茨城県、富山県、奈良県の11道府県、市としてはさいたま市、八王子市、別府市の3市、合わせて14の地方自治体において、同様の条例が成立している。 兵庫県内で障害者差別解消に関する条例を制定している自治体はまだないが、法施行を前に障害者差別解消支援地域協議会の設置に向けて、検討する自治体も出てきている。 3.条例の検討方針 検討にあたっては、手話言語・障害者コミュニケーション条例の検討実績を踏まえ、当事者の意見を十分に反映する条例づくりを目指す。また、条例の性質や他市での障害者差別の解消に関する条例の検討経過なども考慮し、専門職や教育関係者、民間事業者など幅広いメンバーに参加していただき、多方面から理解の得られる条例となるよう、検討段階で十分な議論と調整を図る。 まず障害者差別の解消を広く周知していくための枠組みを備えた条例の今年度内成立を目指し、条例施行後の具体的な運用の中でさらに必要な要素を見極め、将来的には条例の見直しも視野に入れて引き続き検討を進めていく。 4.当事者参画の機会の確保 検討にあたっては、手話言語・障害者コミュニケーション条例の検討実績を踏まえ、当事者の意見を十分に反映する条例づくりを目指す。本検討会やパブリックコメント以外にも、以下の当事者参画の機会の確保を予定している。 (1)障害を理由とした差別と思われる事例の公募(平成27年4月)   条例検討会において、「どのようなことが差別になるのか」「どのような配慮が必要なのか」をより具体的にイメージしてもらうために、「障害を理由とした差別と思われる事例」と「障害のある人への配慮の良い事例」を市民に公募した。 (2)フォーラムの実施(平成27年6月及び12月) 条例の検討と連動する形で、「障害のある人の差別について考えるフォーラム」を6月と12月に開催する。6月フォーラムでは、本年3月成立した手話言語・障害者コミュニケーション条例の検討経過を振り返り、今年度からの条例検討についてシンポジウム形式で意見交換を行う。12月フォーラムでは、障害者差別解消の実現に向け、条例制定に向けた取り組みと法施行を控えた状況についての周知を図る。 (3)タウンミーティング(出張ヒアリング)の実施(平成27年7月)   検討会参加者以外の当事者の声を反映し、広く市民に障害者差別について理解してもらうために、市内2か所(大久保、魚住)でタウンミーティングを予定。条例の検討状況の周知を図るとともに、障害を理由とした差別と思われる事例についての意見交換を行う。 5.モデル事業 本検討会は、国の平成27年度内閣府障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業(以下、「モデル事業」)によるモデル会議を兼ねる。法に規定されている障害者差別解消支援地域協議会のあり方を検討するために内閣府が実施しているモデル事業で、本条例検討会の第2回から第4回をモデル会議と位置づけて開催することにしており、条例検討の中で内閣府スタッフから障害者差別解消支援地域協議会について説明の機会がある。 検討会構成員には、モデル会議の委員にも就任いただくことになるため、第2回検討会開催時に内閣府からの委嘱状が交付される。また、12月フォーラムは、モデル事業の中間報告会を兼ねる形で開催する。