第10回明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会 議事概要 日時:令和4年11月17日(木) 午後2時〜4時 場所:市役所議会棟大会議室 1 開会挨拶 【福祉局長 開会挨拶】  本日は、お忙しい中この明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会にご出席いただきまして、本当にありがとうございます。  この協議会は「手話言語を確立するとともに要約筆記・点字・音訳等障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例」に基づき設置しております。明石市はこの条例を平成27年4月1日に施行し、本協議会を中心に推進してまいりました。  国では、今年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(通称)障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が公布・施行されました。この法律では、障害者による情報の取得利用や、意思疎通に係る施策の推進にあたって障害の種別や程度に応じた取捨選択ができるようにすること、障害者でない人と同一内容の情報を同時点において取得できるようにすること、高度情報通信ネットワークの利用や情報通信技術の活用を通じて推進すること等を基本理念として定めております。今後、この法律に基づいて障害者のコミュニケーション施策がより一層進んでいくことに期待をしております。  明石市としては平成27年からの条例に基づき、障害のある方が不自由なく手話等コミュニケーション手段を利用することができる環境整備を、協議会でのご意見をいただきながら進めてまいります。  本日のご出席の皆様は、それぞれの団体で専門的な活動をされている方と、思いがあって公募で選ばれた市民の方が参加されており、本市の福祉情勢に深いご理解をいただいている方々ばかりでございますが、あらためて本協議会運営委員としてご意見とご協力をお願い申し上げます。  最後になりますが、ご出席の皆様のご健康と、ますますのご活躍を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 2 委員委嘱 3 自己紹介、会長、副会長の選出   会長に井澤信三氏、副会長に阪田憲二郎氏とすることを参加者全員で承認 4 議題  (1)協議会の運営、取り組みについて   【資料1】【資料2】について事務局から説明    【質問】  (委員)  資料2について。内部啓発や学校教育は車いす体験、アイマスク体験、手話講座、要約筆記と身体障害に関する活動に終始している。内部障害、知的障害、精神障害について活動しているのか。    (事務局)  内部障害、知的障害、発達障害、精神障害に関する啓発は今後の課題だと考えている。教育委員会とも話し合いを続け、啓発に取り組んでいく。過去には知的障害の当事者を招いた職員対象の研修等を行った例もあるが、ここ3年ほど続く新型コロナウイルスの影響で研修機会が不十分となっている。新型コロナウイルスの状況を見ながらにはなるが、来年度以降はこれらの障害に関する体験型研修や取組を行っていきたい。    (委員)  現在の日本は特別支援学校や特別支援学級で障害のある子どもが分かれており、交流の機会が奪われてしまい、インクルーシブ社会にならない。明石市はもっと子どもたちが障害のある人と触れ合う機会を用意する等、障害のある人を支える視点を養う必要がある。    (事務局)  支援学級、支援学校の生徒と通常学級、通常学校の生徒で分かれている件については、いただいた意見を教育委員会に伝える。障害のある人を支える視点については、ヘルプマークの啓発や、障害に限らず社会で困っている人に自然と手を差し伸べる機運作りに取り組んでいきたい。    (会長)  今回は学校教育関係の市職員が参加していないので、1人はいた方が良い。教育関係の補足で、新型コロナウイルスの影響で機会は減少しているが、特別支援学校の生徒と通常学校にいる生徒で交流はある。通常学級と支援学級も日ごろからある程度の交流があり、通常学級の中にも障害のある生徒はいる。そのうえで当事者講師を呼んで体験を行う取り組みも実施している。体験については実施数が少なく一般の方への周知も進んでいないので、新型コロナウイルスの様子を見つつ活発化していく必要性を感じる。    (委員)  この協議会は3期目となるので、次回の協議会の時でも良いので今までの総括をしてほしい。協議会の意義を再確認するためにも、「何をしたか」ではなく、「どう暮らしが変わったか」を当事者意見ベースで評価する事が必要だ。    (事務局)  来年度は、障害者計画や障害福祉計画を策定する節目の年でもあるので、当事者の方、団体の方、関係事業者の方に様々なヒアリングを行う予定。その中で本協議会や本市の取組状況を検証する。    (委員)  私は障害当事者なので、暮らしの変化に対する評価という点で補足する。声をあげればお店で合理的配慮を受けられるように変化してきている。    (委員)  参考資料についている職員向け配慮通信の裏面に写真がついているが、拡大読書器と読み上げ機が逆になっている。    (事務局)  情報の間違いについて直ちに訂正を行う。今後は職員向け通信の掲載前に確認を徹底し、再発を防止する。      (2)グループワーク「コミュニケーション支援ボードの作成及び普及について」     【資料3】について事務局から説明の後、各グループで意見交換を行った。   【グループからの報告】 Aグループ  コミュニケーションボードだけで全てが解決できるわけではなく、伝えようとする心が重要。心があれば、レジでの会話、学校教育、日常生活の様々な場面でコミュニケーションボードは有効に使える。コミュニケーションカードについては、この枚数では不足するのではないか。これからの時代、スマホアプリのようなものでコミュニケーションカードの役割を果たせれば良いと思う。普及に向けた取り組みについて、健常者の方に対して障害のある人がどんなところに困っているのかを広めていく必要があるという意見が出た。 Bグループ  見た目でわかりやすい障害のある方はお店の人からの支援を受ける事ができるが、聴覚障害のある方はお店の人になかなか気付いてもらえないので、コミュニケーションボードや筆談ボードは言わないと出てこないという意見があった。海外の方やご高齢の方にコミュニケーションボードを使う習慣が出来ればレジに常備する流れが出来て、見た目にはわかりにくい障害者の人でも使いやすい環境ができるのではないか。ただし、コミュニケーションボードを用いたとしても知的障害のある方は自分がイメージしたとおりにお店の人とやり取りができないと混乱してしまう可能性がある。どのようにコミュニケーションボードを活用するか、お店の方に周知と啓発を行わないといけない。そのためにも公共交通機関を含めた様々な場所で、コミュニケーションボードやコミュニケーションカードの存在を宣伝してもらう必要がある。 Cグループ  ただ漠然とコミュニケーションボードやコミュニケーションカードを宣伝しても、店の人はどう使えば良いのか、そもそも障害のある方が何に困っているのかがわからない。利用者の側もコミュニケーションボードを使いなれていないと混乱するので、店側にも利用者側にもコミュニケーションボードの周知、啓発を行っていく必要がある。コミュニケーションカードについては、コミュニケーションボードと同様に「コンビニ用」「飲食店用」「病院用」のように用途に応じてカードの束を用意すれば、使うときに迷わなくて良いのではないかという意見が出た。どうしても数が必要になるので荷物になるという意見や、1つ1つが小さいのでなくしてしまうのではないかという意見があったので、ゆくゆくは他の班の意見にもあったように電子化されることが望ましい。 Dグループ  レジの支払い等に限らず、支援を必要としている人が使えるものがあると良い。たとえば、棒の先に手の形がついている「ヘルプハンド」というような物を掲げることで、店員が来てくれるという仕組みがあると良いかもしれないという意見が出た。現状ではヘルプマークが周知されつつあるので、日常の様々なシーンで店員や周りの人が気付いてくれるように啓発していってほしい。コミュニケーションカードについては、困っている内容は人それぞれなので、自分でカスタマイズできるようにコーティングされた面にペン書きできる無地のカードがあっても良い。普及方法について、コミュニケーションボードを設置した店に障害当事者と一緒に行ってみて、コミュニケーションボード使う感覚を知っていただくことが大切。コミュニケーションボード設置店には認証制度を設けて宣伝する等、お店側のメリットを明確化する事も重要だという意見も出た。 【会長まとめ】  コミュニケーションカードについて、共通する部分と障害の程度によって異なる部分があるので、「選べる」というのが重要なポイント。1つ1つは小さいカードでもたくさん持ち運ぶのは難しいので、必要なカードだけ簡単に取り外せるようにして、自由に持っていけるようになっていれば使いやすい。  コミュニケーションについて、お店側と利用者側の両方の問題として取り組む必要がある。言われて初めて気づくこと、伝えたことでわかりあえる経験、成功体験を積み重ねていくことがお互いにとって必要。コミュニケーションボードを使用する際、「出してくれ」と言われて出してくるのはお店にとっても利用者にとっても結構な手間になる。常にお店のテーブルの上やレジの横に置いてあれば、指さして使うことで「あぁ、こういう時に使えるのか」という成功体験につながる。コミュニケーションというのはお互いの歩み寄りなので、聞き取れない、伝わらないと思ったらゆっくり話すように促す等、聞き取ろう、伝えようとする歩み寄りの意識が大事。心の教育という意見もありましたが、互いに歩み寄る習慣を学校や家庭で培っていく必要がある。  アプリについて意見が複数あったが、時代が進む中で自然と生まれてくる可能性もあるので、明石市がアプリを作るか作らないかについて結論を急ぐ必要はない。まずは、コミュニケーションに関する取り組みのモデル地区のようなものを作り、全国に発信すれば良いのではないか。 5 閉会 【生活支援部長 閉会挨拶】  コロナ禍でグループ討議の場をなかなか用意できなかったが、皆様に感染対策に協力いただいたことで実現できました。グループセッションの中で得た新たな気づきや次に活かせるような事はぜひ持ち帰っていただいて、共有していただきたい。  コミュニケーション支援ボード、コミュニケーションカードについて様々な意見をいただきました。行政はもちろん、社会全体でコミュニケーション支援ボードの普及、心の教育に取り組んでいく必要があると実感いたしました。  来年度は障害者計画の改定も控えており、節目の年です。コロナ禍での取り組みを振り返りつつ、本日の意見を活かしながら今後の障害者コミュニケーション施策推進に取り組みます。変わらぬご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。