第11回明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会 議事概要 日時:令和6年2月20日(火) 午後2時〜4時 場所:明石市民会館第3・4会議室 1 開会挨拶 【丸谷市長挨拶】  みなさん、こんにちは。市長の丸谷です。いつも、明石市のまちづくりにお力添えをいただきまして厚くお礼申し上げます。  本市では、「誰一人取り残さないインクルーシブなまちづくり」を進めています。  2015年に手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定し、障害の有無に関わらず、コミュニケーションが取りやすいまちを目指して、さまざまな施策に取り組んできました。  この協議会では、みなさまからいただいた、いただいたご意見が、障害理解の研修の実施やコミュニケーションボード、そしてコミュニケーションカードの作成に結びついたと聞いています。本当にありがとうございます。  2024年度のまちづくりの基本方針は、「対話と共創」です。多様な立場の皆様の声を幅広くお聞きして、対応を通して、インクルーシブなまちづくりを進めてまいります。これからも引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 2 議題  (1)協議会の運営、取り組みについて   【資料1】【資料2】【資料3】について事務局から説明    【質問】  (委員)  資料2のところでいくつか質問がある。幼児や小学生など小さいころからの理解啓発が非常に大事と思うが、小中学生、高校生の車いす、手話、点字、高齢者体験などの福祉学習の全体像をどの程度福祉局で把握しているのか知りたい。    (事務局)  教育委員会、各学校で毎年学習カリキュラム策定し、福祉学習しているが、中身の詳細は、各学校に委ねられている。また、最近ではLGBTQ やジェンダーの問題等、様々な出前講座のようなメニューがあり、各学校の方で選んで申し込みいただく方法になっている。また、社会福祉協議会の各ボランティア団体との連携でされている福祉体験学習もある。現状、障害福祉課として、関連する全ての福祉学習や出前講座等の把握はできていないため、関係部署とも連携し、情報共有しながら、来年度以降進めていきたい。    (委員)  取り組み報告は、聴覚障害に関することが多く、学校での福祉学習も身体障害に関する体験がほとんどで、精神障害、知的障害に関するものがない。  福祉学習の取り組みにも学校によって差がある。障害に対する基本的な理解ができ、統計立ててた福祉教育が必要と思っているが、なかなか実現されない。  コミュニケーション条例が先にできて、配慮条例、インクルーシブ条例の順になり、担当部局も福祉局と政策局に分かれているが、総合的に組織の中で取り組んでいってほしい。    (事務局)  知的、発達、精神障害の理解促進については、教育の方にも問題提起をしているところ。今年度については、コロナでしばらく止まってた市の職員向けの研修で、先月、インクルーシブ推進室主催で市の職員向けの知的障害理解研修を再開した。  教育や地域に向けての知的・発達・精神障害の研修については、社協とインクルーシブ推進室の方で今後の開催方法について協議されてると聞いている。  精神障害の理解研修に使えるような福祉教材や障害の理解に使えるような学習教材の作成なども社協の方でされてると聞いてる。  特に知的障害の方や発達障害の方のコミュニケーションについての理解は大切ということは認識しているが、障害福祉課の所管でしている関係で、どうしても偏りがある。今後も障害者配慮条例やインクルーシブ条例の所管部署、社協とともにしっかり連携し、地域や子どもの頃からの理解啓発に取り組んでいきたい。    (委員)  昨年度の協議会で、当事者にヒアリングしたらどうかと質問し、今回のアンケート調査結果の資料を提供していただいたと思うが、少しずれている。この条例あるいは施策が実行された結果、当事者もしくは当事者団体から見た満足度が以前と比べて良くなった、暮らしやすくなったというあたりを確認してほしいとお願いした。  もちろんコミュニケーション施策の話だけなのであれば、暮らし全体の話ではないのかもしれないが、明石市は子育て施策の充実で非常に有名で、子育て中の方に聞くと、明石は暮らしやすい、明石に住んでよかったという話をする方が多いと思う。そのように、ぜひ、障害者の方にコミュニケーションの障害だけでなく、明石に住んでよかった明石が暮らしやすいというようなふうに言ってもらえるような明石市であってほしい。他の地域の人と話しするときに、明石市の施策そのものが非常に高く評価されてるという事実がある。実際にその施策の評価のところが正直まだ見えないというのが私の実感で、市民としてぜひ他の地域の人に、障害者にとっても明石市は非常に評価が高いということを言いたい。そういうためのデータをぜひお願いしたい。  コミュニケーションを切り口にして、障害者全体の暮らしやすさを視点に施策の改善につなげてほしい。    (事務局)  今回、障害者計画を策定するにあたって、3年または5年に一度アンケート調査をする中で、定点観測するために条例に関連する項目を入れている。どうしてもこちらの視点としては、個別具体的な暮らしの場面場面によっての困り事や行政への期待、必要なサービスを聞くような偏りがちなところが正直あったと委員のご意見を聞いて感じている。まず大前提として、明石に住んで満足しているかというところを今後機会があるときには問いかけるような視点も持っていきたい。    (委員)  私たちの普段の生活で、障害のある人に出会うことが少ない。教育現場で子どもたちが障害のある人と交流できる場を作ってほしい。障害のある人に出会った体験がなければ、声をかけるのも躊躇してしまう。子どもの頃からの交流が一番大事と思うので、次年度からでも教育委員会や学校関係者にも入ってほしい。    (事務局)  今後の協議会の出席者について、教育委員会と相談をさせていただきたい。   3 委員報告と意見交換  (1)委員報告  (委員1)  コロナがだいぶ和らいできて、マスクをつけてる人もだいぶ減ったが、電車の中や会社、買い物など場面によってマスクをされている人もいる。困る場面はあるが、対応方法は良く変わってきている。例えば、買い物のレジでマスクはされているけれども、伝わるように工夫して指差しやメモをしてくれるなど、コミュニケーションについての気づきが高まっていると感じる。また、テレビなど手話通訳が出ている場面が増えてきたのは、社会の意識も変わってきていると感じ、とてもうれしく思う。  会社でもUDトークなどの文字変換アプリを使い、ミーティングや朝の連絡なども内容がわかるようになっている。そういう支援があって、ミーティングにも参加できる数も以前と比べても増え、職場内のコミュニケーションもスムーズになってきている。本当にコロナ禍で大変だったけれども、明石市の取り組みも進んでいるので、みなさんの意識も変わってきているのはよかったと思っている。    (委員2)  私が困っているのは、マスクをして、口元が見えないということ。マスクは今のところ仕方ないが、難聴の方の多くは人の表情、口元の動きを見て、多くの情報を読み取り、聞こえない音声を補おうとする。また、後ろから声をかけられても全然気づかず、無視したとは思われてしまう。自転車が後ろから来て、ベルを鳴らされても全くわからない。視覚に入らないとわからないため、歩道の端の方を歩くように気をつけている。1人で電車に乗っていて事故があったときのアナウンスが聞き取れないので、状況がわからず不安。駅員さんに聞いても、その説明が聞き取れないので、急いでいるときは焦る。今は音声文字変換のアプリを利用して、少しはわかる。周りの情報が入らない、入りにくい、聞こえない、聞こえにくいうえに、コミュニケーションが困難。    (委員3)  明石市視覚障害者福祉協会では、市内の小学校から社協のボランティアセンターの方に障害当事者としての講演依頼がある。毎年、市内の小学校の約半分以上から依頼があるが、なかなか全校は回れない状態。市内の小学4年生が福祉学習を行っており、熱心な小学校であれば、事前にまち歩きをして、小学校周辺の点字ブロックや危ないところを事前に調べたりして、当日教えてくれる。質問もたくさんいただき、当日は時間が足りないぐらい。私からのお話と、児童からの質問にお答えするという形で、3年ぐらい続いている。子どもたちは、すごくしっかりしていて、質問事項も大人並みの内容。いつも言うのは、今後、大きくなっても視覚障害者の理解を持っていてほしいという思いで頑張って行っている。2年前に福祉学習を担任している先生を対象に、視覚障害理解の研修を開き、24名の先生が参加された。市内の県立城西高校から3年続けて講演依頼があり、行っている。高校3年生が対象で、講演やグループディスカッションを行い、視覚障害に対しての関心も高く、今後ボランティアしていきたいという高校生たちが真剣に意見を出し合うという取り組みに協力している。  (委員4)  知的障害に対する理解を深めてもらうための活動を、全国的に北海道から九州まで取り組んでいる。キャラバン隊というかたちで、それぞれの地域で活動している。明石では「まねっこ隊」という名前で活動している。自治会などから依頼を受けて、知的障害の疑似体験などを通して、理解啓発を行っている。療育手帳を持っている人は3000人ぐらいいると思うが、会員はわずか400人ぐらいで、非常に組織率は悪いが、そういう形で活動している。一番大きな問題は、小中学校に支援学級というのがあり、市内で約800人いる。一部、身体障害の子どももいるが、知的障害、情緒障害、それから自閉症など療育手帳の所持の子どもがほとんど。また、いなみ野特別支援学校に明石から220か230名ほど行っている。市内で1000人ぐらいの支援教育を必要としている子どもたちが行っているという状況。やはり教育との連動というのはぜひこれからも考えてほしい。学校教育の中で、いろんな障害、多様な障害があるということを一緒になって体験してほしい。小さいときの体験は大人になってもずっと生きる。当事者との交流や一緒に協力するなかで、障害理解をしてもらうのがコミュニケーションの一つの大きな目的であると思う。  (2)意見交換「もっとコミュニケーションが取りやすいまち明石をめざして」   事務局から説明の後、@アンケート結果や委員報告を聞いて感じたことA自身の所属団体や地域で今後できること、やりたいことB市で取り組んでほしいことなど、各グループで意見交換を行った。   【グループからの報告】 Aグループ  知的障害、精神障害などの理解が進まないという課題がある。小学校など学校教育での理解学習が大事という話がでたが、学校の教員もなかなか余裕がなく先生の努力にかかっているところがあるなど非常に厳しい。そのため、例えば、教育委員会の初任者研修のメニューに入れることで、一人ひとりの先生に障害理解を伝えていけるのではないか。精神障害への理解については、難しく捉えがちだが、例えば精神障害の方の楽器演奏など、そういった交流を通じ理解を深めていくというところが有効ではないかという意見があった。  市で取り組んでほしいことについては、小学校などでも福祉教育は取り組みが進んでいるとこともあるが、先生方や教育だけに任して解決する問題ではないため、今後は市としっかり連携を進めるのが大事。また、市の施設や駅などに啓発ポスターの掲示をすることでより広く啓発ができるという意見が出た。  あらゆる手段で取り組み、一つ一つできることを着実に進めていくことが大事ということで意見がまとまった。 Bグループ  1点目は、実際現場で当事者の方々に関わっている方々にこの協議会にも入っていただきたいというのと、社協との連携がもっと必要ではないか。子供のころからの積み上げが非常に大事ということで、若年層だけではなく、中高年層向けにも交流の場が必要で、当事者の生の声にふれて一緒に活動することで、より理解できるのではないか。  2点目は、地域のボランティア活動や交流会や研修会などを実施する中で、自身が話す立場、また聞く立場としてもそういう機会を増やしていきたい。要約筆記や音訳の活動が知られていないという難しさもあり、イベント開催時は、みなさんが参加しやすい場所や時間を考え、啓発の工夫も必要という意見があった。  3点目は、いろんな障害について幅広く知っていただく機会を市の主催で数多く開催してほしい。ただ、予算面で難しいかもしれないが、筆談カフェもよかったのでぜひそういった回数が増えるとよい。  あとは、ユニバーサルツーリズムという形で一緒に体験する。食事や交流などの機会を旅行会社とタッグを組んで企画してもいいのではという意見もあった。 C グループ  1点目は、他のグループの内容と重なる部分があるが、子供の頃から障害のある子もない子も一緒に過ごし、困ったときに助け合えるような環境を作ることで、相手の困り事を理解し助け合う体験ができる。大人になってからではなく、子供のうちから一緒に過ごすような環境が大切ではないか。また、当事者の方からは、行政の方にお願いすることだけではなく、当事者の立場からもできることはあるので、学校での福祉学習の中で、当事者からもしっかりと発信していくことが大切。様々な障害当事者が地域で活動をしていくには、地域側の受け止めが大事であり、コミュニケーションや関わりを作るための手段について、しっかりと行政側がバックアップしてもらいたいという意見があった。  また、市だけではなく、国や県も含め、行政文書が非常にわかりにくいというところの問題意識から、市の広報物などわかりやすい言葉に置き換えていくような工夫をしている。 2点目は、年明けの能登地震があり、今後、明石で災害が起こった際に、障害のある人の避難方法や、知的障害のある人が避難所でどう過ごすかとかいうことについて、常日頃からの防災の備えが必要という意見と、個別避難計画の策定の取り組みで、ご自身で活動しているという意見もあった。そういった取り組みを地域の方にも知ってもらうということが大切という意見があった。また、地域での障害当事者の方の居場所作りに取り組みの紹介をいただいた。  3点目は、障害者差別の解消の取り組みは、行政が啓発に力を入れてもらいたい。市役所の中でも障害当事者職員が多数働いているので、職場でのサポートなど、地域の企業や関係団体等への発信や、インクルーシブ条例の啓発などの取り組みに力を入れてほしいとの意見があった。 Dグループ  1点目は、資料にあったアンケート結果から、手話コミ条例の認知度が低いことにショックだったということの意見あった。また、コミュニケーションというのは、声をかける勇気が障害の有無に関わらず必要なので、障害の有無に関わらずみんながいてあたり前と思える施策が必要。学校教育での障害理解の取り組みや、文字変換などの便利なアプリなども啓発に入れてはどうかという意見があった。  2点目は、点訳グループでは、毎年、市内の高校で3年生の希望者に点訳の体験を以前から行っており、点訳の方法だけではなく、視覚障害理解の話もされている。  また、まねっこ隊の活動では、地区社協からの依頼でいろいろなところに行くが、講義と体験があるため、だいたい5人で行くため、メンバーの調整も大変とのこと。  3点目は、市が旗振りをして、ボランティア団体、当事者団体と一緒に「手話カフェ」があるように、障害のある人もない人も集まれる「障害者カフェ」などのようなものを開いてほしい。市役所新庁舎が完成したら、どこかの一角で「障害者カフェ」ができればよい。それ以外にも理解啓発、理解が促進できるような交流イベントがあればよい。失語症者の意思疎通支援についてもポスターなどを作って啓発するのがよいなどの意見があった。 【会長まとめ】  手話言語等コミュニケーション施策について、転換期にきている。インクルーシブとか、共生社会とか言われてきているが、コロナによって活動が少し停滞したようなところからさらに一歩、打ち破っていくようなことが必要ではないか。会議の内容も委員のみなさんの発言の中で少し身内だけの会議になってしまい、実績が踏襲されるようなことになっているというような発言もあったため、来年度に向けて1つ、2つでも今日の意見が採用され、実現できるようになることが大事。  2点お伝えしたいことがある。1つ目は更にオープン化していくことが必要であること。この条例があまり知られていないというのも課題ではあるが、知っている人をどれだけ広げていくことができるかが大事。その中で、学校教育というのは、子どもや家族も含め、果たす役割が大きい。もう1つ交流する場の設定ということも必要で、これまでもあったが、それをさらに1つでも2つでも広げていく。先ほど出た意見にあった新庁舎に交流できるスペースを作るのもよいと思う。  考え方としては、日常で関われるっていうことと、イベントでの関わりの両側面で進めるのがよい。イベントは、単なるイベントで終わるリスクもあるが、そこから日常での繋がりに発展していくこともある。顔を合わせることで繋がりを誰もが実感する。そういったことが必要と思う。  2つ目は多様性の尊重。いろんな障害のある方がおられ、高齢者や LGBTQの話も出ていた。例えば、明石市には明石養護学校があり、そこに重度で重複の障害のある児童生徒が、元気に学んでおられるが、なかなか意見が言えない現状があるかと思う。今回の資料のアンケートの中にも発達障害や精神障害の当事者の意見が含まれているかと思うが、そういった方の全ての主張を満たすことはできないにしても、少し検討していく必要があるのではないか。  もう1つ言われていたのは、学校教育のこと。協議会委員に学生の委員を入れてはどうかと思う。学生など若い人のコミュニケーションも少し違うところがあるため、今後は学生委員を入れることも検討してほしい。 以上でまとめとさせていただく。 5 閉会 【生活支援部長 閉会挨拶】  本日もグループワークを中心にもっとコミュニケーションがとりやすいまち明石を目指してと題し、意見交換や情報提供等をたくさんしていただきました。冒頭の丸谷市長の挨拶の中で、令和6年は、「対話と共創」ということで市民の皆様との対話を通じて、ニーズや課題の把握、またご提案やご意見の聴収を行って、みなさまと一緒に新たなまちの魅力や価値観を創造していくということを、まち作りの基本方針としますというお話がございました。まさに今日のようなグループワーク等を通じて、広くアイデアを出し合って、参加者による話し合いで新しい取り組みを考える。そして、一つ一つチャレンジして実践をしていくという、こういう積み重ねが大切ということを改めて強く感じているところでございます。本日は、このグループワークにおいて、当事者や支援者、それぞれの立場から日頃の活動等を通じて、実践に基づいて感じておられる課題や改善に向けてのアイデアなど、本当に建設的なご意見や小さな工夫がなされたご意見があり、想像すると今後の取り組みをしていくのが、わくわくするようなそんな思いがいたしました。  今日のご意見を市で整備検討等をいたしまして、今後の取り組みに生かしていけたらと思っております。みなさまには、今後とも本市の障害者施策の推進にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。本日は、誠にありがとうございました。