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更新日:2024年4月10日
事業は、水道法に基づき、国(厚生労働省)の認可を受け、明石市が経営している公営企業です。事業の運営においては、基本的な法律として、水道法と地方公営企業法が適用されます。
水道法では、水道事業の目的を「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること」としています。また、「水道」とは、「導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する総体」をいい、水道が有すべき施設として、「原水の質及び量、地理的条件、当該水道の形態に応じ、取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設及び配水施設の全部又は一部を有すべきもの」としています。
このように水道事業は、原水(地下水や河川水)を確保し、浄水施設の機能によって国が定めた水質基準に適合した、飲用に適する浄水に転換し、配水管等の配水施設によって日々絶え間なく供給することを目的としています。こういう大規模な施設を必要としている点で、同じ公営企業である交通事業や病院事業と大きく異なります。しかしながら、施設は経年による老朽化を避けることができません。昭和30年代から40年代にかけての水道事業の拡張期に整備された施設の更新時期を迎えており、計画的な更新整備を実施するため、今後多額の費用を要します。
また、原水(水源)の確保は継続して水を供給していくうえで、事業の死活問題といえます。原水という自然物に頼らざるを得ないところが水道事業が背負っている条件であり、渇水あるいは枯渇ということが事業の脅威となります。このような点で、明石の水道の歴史は水源確保の歴史といえます。
地方公営企業法では、経営の基本原則を「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」としています。この経済性と公共の福祉の増進という二つの要請を事業運営のなかでいかに満足していくかが非常に重要な課題であり、事業の選択と集中、及びその計画性が求められる所以です。明石市水道事業では、明石市水道事業経営戦略と明石市水道事業中期経営計画を策定、公表しています。今後とも継続して計画の達成についてお知らせしてまいります。
明石市は、雨が少なく、あまり大きな河川もないため、昔から水の確保には大変苦労してきた歴史があります。水道事業としても、昭和6年の創設期には、水源の全量を地下水に求めていましたが、その後、昭和43年には明石川河川水、そして昭和63年には県水(兵庫県水道用水供給事業から浄水を購入)と新たな水源を開発してきました。現在はこの、地下水、河川水、県水の3種類でまかなっています。
もともと、東播地域一帯の地下には、「東播地下水盆地」と称される地下水の溜まりやすい地層があり、地下水の豊富なところとされていました。しかし、昭和30年代以降、水道用はもとより、工場用、農業用と過剰に地下水が汲み上げられ、それに伴い地下水の水位が低下していきました。その結果、海水が陸地の内部に浸透してくることによる「地下水の塩水化」が進行しています。
塩水化した地下水は水道の水源として利用できません。塩水化を防ぐには、地下水の汲み上げ量を抑制しなければならず、明石市水道だけでも、昭和59年度の年間2,930万立方メートル(野々池貯水池約21杯分)を平成20年度には1,705万立方メートル(同12杯分)へと、40%以上の抑制を行ってきています。地下水を将来にわたって有効に利用していくためには、今後とも、限りある天然資材としてその保全対策を継続していく必要があります。
昭和43年、明石川浄水場の開設と同時に明石川河川水の取水を開始しました。地下水の汲み上げを抑制するために河川水を新たな水源としたものです。そして、この河川水をより効率的に利用するために、昭和49年、もともとかんがい用のため池であった野々池を水道用の貯水池として改修しました。これは、河川の流水量が多く、取水できる水量に余裕があるときには、河川から取水した水の余剰分を貯水池に貯留しておき、河川が渇水になったときにこの貯留水を使用しようとしたものです。現在では、明石川浄水場以外にも鳥羽浄水場でもつかえるようにしています。さらに、平成11年度には、第2貯水池の亀池を築造したほか、平成13年には野々池・亀池専用導水施設を新設するなど、いついかなる場合にも確実な取水ができるようにしました。
また、安全・安心に河川水を使用できるよう、平成14年度からは、明石川浄水場に従来の浄水処理(凝集沈殿・急速ろ過方式)に新たなオゾン・活性炭処理を加えた高度浄水処理を導入しています。平成22年度には、鳥羽浄水場にも、活性炭処理を加えた高度浄水処理を導入しています。
県水は、兵庫県の事業として、水源を加古川上流域(川代ダム、大川瀬ダム、呑吐ダム)に求め、県営の浄水場(神戸市西区の神出浄水場)で浄水処理し、水道水にして本市に卸売りしているものです。
県水は、本市の水の需要量に対し、自己の水源(地下水、河川水)で不足する分を補うための水源です。現在では、水源の2割以上を占める重要な水源ですが、単価が高いため水道財政への影響も大きくなります。このため受水量については、水需要の動向、自己水源の状態、水道財政への影響度などを勘案して慎重に決定しています。
水道事業は、装置産業といわれるほど、膨大な施設を必要とします。そしてそれら施設が一体として機能してこそ、安全・安心な水道水の安定供給が可能になります。
本市は、海岸沿いに細長く開けた地勢や水源の状態から、比較的狭い市域にもかかわらず、3つの浄水場と3つの配水場を有するなど非効率を強いられる面があります。しかし、背後に丘陵地が広がっている程度で山に類するものがないうえ、人口密度が高いことから、配管整備などの面では効率的といえます。詳しくは、「水道施設の概要」へ
明石市水道局キャラクター「明水くん」
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