ホーム > 市政情報 > 広報 > 連載「明石のたからもの」 > 連載 明石のたからもの-9 明石の酒づくり
ここから本文です。
更新日:2022年2月1日
明石は、神戸の灘に対し、「西灘」と呼ばれる酒どころです。
江戸時代から続き、情熱と確かな技を持った職人たちが行う酒造りは、蔵の数は減りましたが、今も明石が誇るたからものです。
・広報あかし2022年2月1日号特集 歴史紡ぐ明石の美酒はこちらから
西灘の酒造りは、卜部家の祖先によって始められたと伝えらえれています。
延宝7年(1679年))には、江井島の卜部八兵衛(うらべはちべえ)が醸造を行っていた記録があり、少なくともそれ以前から酒造りは始められていました。
【写真】明石領酒造株の鑑札(江井ヶ嶋酒造保管)
延宝7年(1679年)の記録によると、明石領内(現在の神戸市西区を含む)に、61軒の酒蔵が集積していたことがわかります。
消費動向の多様化などにより、消費量が減少したことなどから酒蔵は減少し、現在は6軒の酒蔵が明石の酒造りの文化を守り続けています。
【写真左】大正時代の酒蔵の様子。今はほとんどない木製の樽で、酒のもととなる酒母づくりが行われていた
【写真右】樽や徳利で売られていた酒を日本で最初にガラス製の一升瓶で売り出したのが江井ヶ嶋酒造。社内の製瓶工場で瓶作りも行っていた
(いずれも江井ヶ嶋酒造提供)
明石で古くから酒造りが盛んだった理由は、高僧行基(ぎょうき)が掘り当てたといわれる井戸水など良質な「水」が豊富で、播磨地方で作られた「酒米」や冬に厳しい寒風が吹く「風土」など、酒造りに欠かせない多くの要素がそろっていたからです。その要素に職人の磨かれた「技」が加わり、数々の名酒が生み出されました。
300年の時を越え、育まれてきた明石の酒造り。個性豊かな酒蔵6軒が生み出すお酒は、情熱を持つ職人と受け継がれた技の賜物。6つの各蔵を紹介します。
・「和」と「洋」の酒造りを行う総合酒類メーカー 江井ヶ嶋酒造
・市内最大の生産量 変わらない味と品質を 大和(だいわ)酒造
明石酒類醸造の酒造りのこだわりは「常に自由な発想で美味しいものを作ること」。地元明石産を含め兵庫県産にこだわる銘柄「明石鯛」は、海外の食品コンクールなどで世界の一流シェフやソムリエに高く評価され、ロンドンのデパートやレストラン、世界一周クルーズなどでも提供され、明石のタイが「AKASHI-TAI」として世界に名を轟かせています。
県内産の素材を原料にジャパニーズクラフトジンやリキュールなど、幅広く製造しています。
明石酒類醸造
主な銘柄/明石鯛(あかしたい)
創業年/安政7年(1860年)
住所/大蔵八幡町1-3
電話/078-919-0277
実家の酒造りを継ぐと決め、東京農業大学で酒造りを学んだ蔵元が蔵を切り盛りする茨木酒造。「明石の酒を飲みに、明石に訪れる人を増やす」ため、大学で研究したアベリアなどの花の酵母を使った銘柄「花乃蔵」を生み出すなど、新たな酒造りにも挑戦しています。また、酒米の田植えから稲刈り、元日の仕込みや酒搾りを家族で体験できる「元旦仕込みの会」を行うほか、年2回、酒蔵で「落語寄席」を開催するなど、地域の皆さんに身近な酒蔵として親しまれています。
9代目の蔵元と蔵人の2人で酒造りを行う茨木酒造。良いお酒を造りたいという職人の思いを込めて手造りで酒を造っています。蔵の近くで酒米を栽培し、昔ながらの酒造りにこだわっています。
茨木酒造
主な銘柄/來樂(らいらく)、花乃蔵(はなのくら)
創業年/嘉永元年(1848年)
住所/魚住町西岡1377
電話/078-946-0061
江井ヶ嶋酒造には明治時代からある7つの木造蔵が今も残り、明石の酒造りの歴史を今に伝えています。全国に出荷される日本酒のほか、ウイスキーや焼酎、ワインなども製造する総合酒類メーカーです。総合酒類メーカーだからこそ分かる、日本酒造りの難しさ。杜氏や蔵人の長年培った経験と勘をもとに、温度管理を慎重に行いながら造っています。
日本酒のほか、ウイスキーや焼酎など、明石のおいしい食材と一緒に楽しめるお酒を造る、「和」と「洋」の総合酒類メーカーです。
江井ヶ嶋酒造
主な銘柄/神鷹(かみたか)
創業年/明治21年(1888年)
住所/大久保町西島919
電話/078-946-1001
杜氏夫婦と蔵人が昔ながらの技術や道具で酒造りを続ける蔵が太陽酒造。「すっきりとした飲みやすい淡麗辛口の酒に反旗を翻す」と、全量、純米・無濾過・無添加の原酒にこだわり、飲み応えのある濃醇な味わいの酒を造っています。
直火で米を蒸す昔ながらの甑(写真1枚目)や、酒を搾る木製の酒槽(写真2枚目)など、昔からの技術や道具を使った手造りにこだわる全国でも珍しい蔵。
太陽酒造
主な銘柄/赤石(あかいし)、たれくち、太陽(たいよう)、神稲(くましね)
創業年/天保10年(1839年)
住所/大久保町江井島789
電話/078-946-1153
終戦まで中国で酒造りをしていた会社が、戦後、明石で創業した大和酒造。短時間でもろみを搾り、酒と酒粕に分ける「連続もろみしぼり機」を自社開発するなど、昔から続く酒造りの技に、最新の生産設備を融合し、常に変わらない味と品質の酒を造り続けています。酒蔵内には、大きな7トン仕込みの貯蔵タンクがずらりと並び、生産量は市内最大。北陸地方や県内から来た蔵人10人と力を合わせて、酒造りを行っています。(できたお酒は、小売り販売はしていません。)
自社開発の酒と酒粕に分ける「もろみしぼり機」は、全国の蔵元に広がっています。
大和酒造
主な銘柄/大和鶴(やまとつる) ※大和靏は市販されていません
創業年/昭和30年(1955年)
住所/大久保町西島1063-2
電話/078-947-0108
8代将軍の徳川吉宗の時代から酒造りを続けている西海酒造。作り手の見える酒造りをモットーに「明石産の素材」を使い、「明石生まれの家族」が仕上げます。酒米の栽培を蔵の近くの水田で行い、精米から仕込み、製品化までの全ての工程を、家族で行います。酒米は化学肥料を使わず、レンゲや米ぬかなど有機質肥料を用いて自家栽培。有機栽培での完全自家醸造は、全国でも数えるほどで、消費者に安心安全の酒造りを行っています。
圧搾用の酒袋に詰めた醪を、槽(ふね)と呼ばれる圧搾機に敷き詰めて搾ります。
西海酒造
主な銘柄/空の鶴、翁之盃
創業年/享保元年(1716年)
住所/魚住町金ヶ崎1350
電話/078-936-0467
お問い合わせ