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更新日:2022年3月25日

事故調査委員会(第15回)終了後の委員長記者会見 概要

事故調査委員会(第15回)終了後の委員長記者会見 概要

日程等

[日時]

平成14年1月30日(水曜日) 14時10分~16時15分

[場所]

市議会棟大会議室

[出席者]

委員長 原田 直郎、副委員長 河田 惠昭、委員 石井 曻、岡田 光正、小越 芳保、室崎 益輝

記者会見 概要

  • 14時00分明石市長へ報告書の提出を行い、その後引き続き、記者会見を行った。
  • 14時10分から報告書の内容説明を1時間程度委員会から行い、その後、質疑応答を行った。

Q 警察の方が警備会社よりも警備のプロであり、警備会社には制約もあることから、警備会社よりも警察の方により責任があると思うが。

A この委員会は責任の大きさを判断するところではない。

Q 警察、警備会社、市の三者に責任はあるが、責任の重さは判断すべきでないとのことだが、その理由、根拠を聞きたい。

A 私たちは犯人探しをする役目ではない。事故原因の判断を行ったわけで、それから先は刑事司法でやることだ。

Q 当日、警備会社が警察に規制を進言するチャンスは幾度とあったかと思うが、どの時点で規制をしていたら事故を防げた可能性はあったのか。

A ここで止めたら、ここで手を打てば、といった結果回避の可能性のことを言っているが、それよりも先に予見可能性がある。予見可能性の判断ができてこそ、結果回避が出てくる。警備に対する準備をして、訓練をして、そして指揮官が指揮をするという状況でなければ当日対応するのは無理である。事前準備が十分にされていなかったということに尽きる。

Q 「19時ころまでに流入をストップするなど、強力な規制を実施すれば事故にならなかったと思われるが、・・・」との記述があるが、警備会社が警察に規制を進言したときに規制しておれば、ここまでの被害はなかったということか。

A 歩道橋の群衆が時間的にどのように増えてきたかは、グラフを掲載している。これを見ると19時に約1,500人、19時30分には約4,500人と30分間で3倍に増えている。この間の増え方は非常に急激であり、このような状態のときにいきなりロープを張っても規制はできない。カウントダウンの時の警備員のヒアリングでも、急遽ロープを張ろうとしたが群衆に体当たりされたとか、殴られたとか、罵声を浴びせられたとかで、結局成功していない。それは、群衆も興奮しているので突然やろうとしても駄目で、最初からバリケードを作って規制をして、3,000人以上に増えないようにコントロールするような手立てをしておかないと無理ということである。

Q 計画段階でしっかり準備をしておけば、この事故は防げたのであって事故当日の過失は問えないとの理解でよいのか。

A 事故当日の状況は報告書に写真等を入れて記載してあるが、委員会の審議の過程ではもっと詳しく検討した。しかし、事故原因になるようなものは出てこず、大蔵海岸へ花火大会を持っていった計画段階からの流れを検討していったら、事前準備が原因だということになった。

Q 警察からの聴き取りが唯一できていないが、権限のない委員会の限界は感じたか。

A 警察に対しては資料提供や、担当者に来ていただいて話を聴きたいという要請を行った。一部については資料の提供を受けたが、応じてもらえなかったものがいろいろとある。その後の調査の過程で明石警察に捜索令状が出て、被疑者という立場になった。被疑者になれば供述拒否権があり、任意出頭という限界がある。したがって、無理やりにというわけにはいかない。これがルールであり無視できない。しかし、立場もあるが原因解明のためには協力いただいても良かったのではないかと報告書の中にも書いた。
いずれにしても、市職員の話を聴いたり、その他の資料により我々は判断をした。

Q 警察、警備会社、市の三者には予見可能性があったと判断しているが、それは常識的なものであると考えてよいのか。

A 本文において「三者の職掌上または一般通常人が払うべき注意を用いれば予見できた。」と書いてある。警察はプロであるので職掌上ということになる。職掌上でなくても目線を下げて一般常識人としてみた場合でも予見可能性があると言うことだ。予見可能性があるし、予見すべき義務がある。予見可能性があれば結果回避の可能性がある。そしてその義務がある。

Q 群衆なだれの誘発空隙の生成要因として、機動隊員が事故の直前に歩道橋に入っているが、これが誘発要因になったと考えられるか。

A あり得るかもしれないが、それが原因になった時間的な特定はできない。押し合って揺れ、どちらに倒れるか分からないという状態でつっかい棒が外れたことにより倒れ込むことになるが、警察が上がってきた時間と大規模な転倒が起こった時間が特定できないのでそれが原因とは言えない。

空隙がきっかけになり、その周囲から倒れ込みが起こったが、空隙がなぜ起こったのかは、1つには子供の転倒やうずくまり、2つには「戻れコール」、3つめとして警察官が群衆を排除したこと、本文では剥ぎ取りとしてあるが、この3つの原因が考えられるが断定はできない。

Q 当初予定されてなかったご遺族からの聴き取り調査を行ったが、これによって得られた効果を聞きたい。合同での聴き取り調査は当初から予定していたのか。

A 話を聴くスタイルまでは決めていなかったが、遺族に対する聴き取りは予定の中に入っていた。なぜかというと事故の当事者であるから、当事者の話を聴かないで判断することはできない。辛い気持ちはあっただろうが、まげて出席していただいた。感謝している。

Q 提言は今回の事故を前提にしたものか、それとも花火大会などを含む一般的なイベントに対するものなのか。

A 提言は一般的に書いてある。全国の自治体で大規模な花火大会などを計画しているところで、今回のような不幸な事故が起こらないようにするためにどうすればよいかと書いてある。

Q 予見可能であることは基本的にやっておき、その上で、このような事故が起こらないようにするための提言があるのではないかと思っていたが、提言の内容が一般的で、具体的に踏み込んだ内容になっていないと感じるが。

A 予見不可能なことをストップすることはできない。地震が良い例である。主催者がいて、たくさんの人が集まってくるようなイベントの場合、どのような危険があるのか、ということを考える。これは予見可能性があるからできることで、どこに危険があるのか分からなければ対応のしようがない。逆に言えばやってはいけないことだ。考えられる範囲でのイベントの内容でどこに危険があるのかをきっちりと確認すれば、それを回避することが可能だということである。それも専門家でなく、常識的に考えて判断できるということが必要だ。

Q 例えば国の方に専門的な事故調査委員会を設置するとか、明石市の中に専門の機関をつくってイベントがあるごとにチェックに行くというのが具体策だと思うが。

A この報告書は資料も含めて全てインターネットのホームページで公開する。したがって三千数百ある自治体は、望めばダウンロードできるので活用していただきたい。提言については、そういう使われ方がされるであろうということも考えている。専門の機関設置については一つの方法であるが、コストのことも考えると非現実的であると判断せざるを得ない。これを読んでいただけると、予見可能性のあるイベントについての予防ができると考えている。

Q 大蔵海岸という会場設定は妥当であったと考えてよいのか。大蔵海岸でも今回のような設定でなければ大丈夫ということか。

A 危険を予見して、ボトルネックになっている構造にどのような対応をすればよいのか、例えば歩道橋への朝霧駅側の入口にゲートを設けて入場者制限を行うことにより通過人数を人為的にコントロールする。あるいは迂回路をきっちりと設定する。会場も今回のように東端ではなく、もっと中央にする。などの対応策があるが、そのような設定をすれば安全にできる可能性があると考える。
条件設定によって出てくる危険性にきっちりと対応すれば、決して大蔵海岸は花火大会をやってはいけない場所だとは言えない。

Q 全庁的な取り組みについて書かれている部分もあるが、このことについて明石市に対しては何を望むか。

A いわゆる災害担当部局などがイベントの開催に対して、イベントを主催する課と共同して、チェックしていくことがこれから期待されると思う。

Q 危険に対する認識を持って見れば、これぐらいのことは分かる一般常識と書いてあるが、実際にそんなところに危険があるということが見る目を持てるかどうか。それが一般的なレベルなのかどうか。

A 少し考えていただければ分かるような、例えば歩道橋の南端は花火を見るのに最適の場所であるが、隅田川の花火大会ではそういうところには幕を張って見えないようにしている。他のところではどのようにやっているかを考えていただけるだけでも違う。他の事例を参考にするスタンスであって、非常に努力しないと分からないような問題ではないということだ。

Q 日本でも権威のある委員が重みのある報告書をだしたことにより、事故原因についての報告書の持つ強制力はあるのか。法的な根拠はあるのか。

A 裁判所、特に最高裁の判決となれば確定的な効力はある。それに比べれば、これは一事故調査委員会の結論だ。受け取った方がどのように見られるか、批評されるか、それは受け取られた方々にお任せする以外にない。強制力といわれると、おっしゃるような強制力はないだろう。

Q 事故調査委員会が非公開となったことに委員の中で異論はなかったのか。

A 非公開については、スタートの時にじっくりと話し合ったが異論はなかった。

Q 三者の中の市が設置した委員会であるということで、公平性の担保はどのようになっているのか。被疑者である市から調査班として職員が入り、事務局として仕切るということで公平性が保たれるのか。

A 調査班は骨身を惜しまず、よくやってくれた。疑念は一点もない。絶対に市側の立場に立つな、資料は全部出せと初めに厳しく申し渡して半年間やってもらった。疑念を差し挟むのがおかしいくらいだ。

Q 半年かかって報告書を提出された感想を聞きたい。

A 8月2日から1月30日まで、ちょうど半年かかった。真夏から真冬までかかったことになるが、幸いに委員の皆さんも体調を崩されるようなこともなく、足並みをそろえて今日まで来た。それぞれの専門の立場から、それぞれこの報告書に盛り込んでいただいた。私自身としては委員の皆様に非常に感謝している。調査班にもご苦労をかけ、何のやましい事もない。報告書の最後にも書いたが、作業をするに当たり、公正、中立などを保持するために誰からも指示、命令、干渉、圧迫等がないようにということでこの委員会の最初から望んだ。幸いに誰からも指示、命令、干渉、圧迫がなかった。その面では非常に気持ちよく作業ができた。

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